【ロック名盤/名曲レビュー】ア・ヤング・パーソンズ・トゥ70年代80年代ROCK

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<第11回> SMOKY / Char

1976年作品

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  ● 「Char」
  ● 「PSYCHEDELIX EDOYA COLLECTION」(サイケデリックス名義のBEST盤)  に収録



 「日本のROCKミュージシャンをひとり、世界に向けて売り出したい。ついては世界に通用するような音楽的資質を備えたアーティストを誰かひとり教えて欲しい
 もし外国の著名なプロモーターからこのような依頼を受けたら、皆さんは誰を紹介するだろうか。
 私の場合は、残念ながらそう言われてすぐに思い浮かぶミュージシャンは数少ない。その少ない中のひとりが Char(チャー) こと 竹中尚人 氏である。
 Char JONNY,LOUIS & CHAR PINK CLOUD PSYCHEDELIX BAHO と、様々な名義・ユニットで活動してきた Char だが、彼の原点といえるのは、そのデビュー・アルバムに収められている 「Smoky」 ではないだろうか。


 曲の冒頭、いきなり「ンチャッチャッチャッ ンチャチャチャッ ンチャッ」 という裏打ちビートのキメが入る。一度聴いたら忘れなれない印象的なフレーズで、この独創的な1フレーズだけを見ても、いかに彼が豊かな音楽的才能を有しているかがうかがえるだろう。その後はこのキメを適所に配しながら、フュージョンとロックの香りを放ちつつ極上のロック・ソングが展開する。
 くどくどと拙い文章表現で説明するより実際に聴いてもらった方が手っ取り早いと思うので、レンタルでもイイから是非一度耳に入れて欲しい。

 尚、この曲は90年代に入ってから PSYCHEDELIX (サイケデリックス) 名義でセルフ・カバーされている。
 古くからのファンは1stアルバム収録バージョンの方が愛着があるだろうが、いまの時代に若い方が初めて聴くのであれば、このリメイク盤の方がイイだろう。サウンド面で抵抗を覚えることもないだろうし、 Char 自身、ギタリストとしてだけでなくボーカリストとしても大きく成長している。中学生の頃からスタジオ・ミュージシャンとして活動していたので、ギターに関してはデビューの頃にはすでに成熟していた感があるが、ボーカルはやはり90年代バージョンの方が味わい深い魅力を放っている。
 そしてそれ以上に PSYCHEDELIX 版では、 ジェフ・ベック とも活動していた ジム・コプリー の素晴らしいドラムが聴けることが重要だ。手数が多く、個性的なスネア・ドラムの使い方で強烈なグルーブ感を放つ優れたドラマーであり、ロック・ドラマーに求められるモノ全てを備えた能力の持ち主ともいえる ジム・コプリー が、このリメイク盤では ハービー・ハンコック スティービー・ワンダー との競演で知られる巨漢 ポール・ジャクソン(b) とともに強力タッグを組んで、壮絶なリズムを演出している。世界の一流ミュージシャンと腕を競ってきた希代の職人たちの、軽やかながらも激しいグルーブ感を味わって欲しい。



 代表曲であるこの Smoky も含めて、多かれ少なかれ Char の曲には歌謡曲化したロックにはない、クロス・オーバー/フュージョンのテイストが同居している。
 この辺りが好き嫌いの別れるトコロになり得るが、いずれにしても一度しっかり聴いてみる必要はあるだろう。音楽にとって、聴かず嫌いという行為ほど危険なことはない。
 若い方にとってこの曲と対峙するということは、洗練されたロック音楽に触れてみる良い機会になると思う。

<2005.05.19>



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